生き残るためのイチゴ狩り [2月の特集]
ソネットの季節特集を大和田家の人々がナビゲートします。 |
今回登場する大和田家の人物
練乳をかけたり、砂糖をまぶしたり、そのまま食べたりして美味しいイチゴ。今回はそんなイチゴをたったひとつぶ求めて、おじいちゃんとおばあちゃんは冬の果物狩りにでかけることになりました。
まずは事のあらまし。
おじいちゃん「お、こんなところにショートケーキがあるぞ。ショートケーキの上に乗ったイチゴは通常の3倍のうまさなんだよな」
おじいちゃんは周囲の様子を見回します。誰もいないのを見計らい、そして…
ケーキのイチゴをつまんでしまうおじいちゃん
おじいちゃん「いただきまーす。ひょーい、ぱくり、もぐもぐ、ごく…」
おばあちゃん「ああ〜〜〜!!!」
おじいちゃんがごくりとイチゴを飲み込んだ瞬間、どこからともなくおばあちゃんの叫び声が聞こえました。
おじいちゃん「どうしたの?」
おばあちゃん「なんてことを…それはくーちゃんが大事にとっていたショートケーキじゃあないですか…しかも上に乗っかっているイチゴを食べてしまうなんて」
おじいちゃん「これ、くーちゃんのだったのか!これがばれたら涙の記者会見じゃあすまないぞ」
おじいちゃんはうろたえます。大好物のショートケーキに手をつけたと知れば、くみこちゃんの怒りで家庭はめちゃくちゃになること必至です。もしそうなったら大和田家の季節情報も今回が最終回になってしまうでしょう。なんとかしないと!
おじいちゃん「うまくごまかす手立てはないものか…。このケーキはどこで買ってきたの?」
おばあちゃん「駅前のケーキ屋さんだけど、人気商品だから売り切れているはずですねえ」
おじいちゃん「じゃあ、イチゴだけでも補完しないと、急いで買ってこよう!」
おばあちゃん「それもだめ。この辺りのイチゴは全てイチゴ大好き入道が食べつくしてしまいました」
おじいちゃん「イチゴ大好き入道?」
おばあちゃん「妖怪です」
イチゴ大好き入道(想像図)
おじいちゃん「ああ、一体どうすれば…」
おじいちゃんは弱りに弱ってしまいました。でもこんなときに頼りになるのはやっぱりおばあちゃんです。
おばあちゃん「イチゴ狩りに行きましょう」
おじいちゃん「そうか、その手があったか! 狩猟本能が騒ぐのう…」
おばあちゃん「イチゴは採集ですが」
幸いくみこちゃんはお出かけ中で、夜まで帰ってきません。さっそく車を(法定速度内で)飛ばして千葉の方へ向かいます。
見えてきた赤い旗
おじいちゃん「お、あの旗は! い・さ・ご…ちがったか」
おばあちゃん「裏、それ裏だから!」
おじいちゃん「あ、イチゴだ」
おばあちゃん「もうすぐですよ」
イチゴ農園に到着
おじいちゃん「イチゴ!イチゴ!」
おばあちゃん「ちゃんと受付で手続きしてからですよ!」
おじいちゃん「はい」
イチゴ農園に到着すると焦って一直線にビニールハウスに突撃するおじいちゃん。でもイチゴをとっていいのはお金を払ってからです。さあ急いで受付へ!
…と思ったらガラス戸にはこんな張り紙が。
驚くべき通告がそこには
おじいちゃん「がたい・・・りのち・・・」
おばあちゃん「横、それ横だから!」
おじいちゃん「がりは終了・・・なに、寿司屋でもないのにガリが終了とな?」
おばあちゃん「おじいちゃん、現実を見てください!」
おじいいちゃんはショックすぎてなかなか張り紙が読めないようですが、つまり今日のイチゴはなくなってしまったみたい。天候とお客さんの数によっては、終わっちゃうこともあるんですね。
売り物のイチゴもなくなっていました
おじいちゃん「くそう、イチゴ大好き入道め…」
おばあちゃん「今回は入道関係ないですから」
おじいちゃん「よし、次の場所へ行くぞ!」
おばあちゃん「はいはい」
二人はあらかじめ電話でイチゴ狩りが楽しめるかどうか確認した後、再び車を走らせ別のイチゴ園に向かいました。
こんどはちゃんとオープン中
農園の人にお金を支払い、練乳とヘタを入れる皿を受け取って、イチゴが並ぶビニールハウスへ入っていきます。
おじいちゃん「よし、今度こそイチゴを狩るぞ。レッツハンティングじゃ!」
おばあちゃん「制限時間は30分だそうです」
時計で言うと、11時50分までです
中に入ると当然ですが、イチゴが沢山!
おじいちゃん「イチゴってもっと背が低い植物じゃなかったか?」
おばあちゃん「ほら、見てくださいよ。鉢の下に脚がついているんですよ」
おじいちゃん「おー、これならいちいちしゃがまなくていいなあ」
おばあちゃん「おじいちゃんの腰には優しくていいですね」
おじいちゃん「何をー、おじいちゃんの腰はこんな動きにも耐えられるんだぞ!」
おじいちゃんは鉢の下をくぐって移動しはじめました。大変マナーが悪いです。
イチゴの下を這うおじいちゃん
おばあちゃん「子どもじゃないんだからやめなさい!」
おじいちゃん「ほれほれー」
と、そのときおじいちゃんの目の前を何かが通り過ぎました。ブーンと音を立てながら。
おじいちゃん「うわー」
おばあちゃん「どうしたんですか。大丈夫?」
おじいちゃん「何かがわしを襲ったような・・・」
おばあちゃん「あら、もしかしてこの子じゃないの?」
イチゴにとまるハチ
おじいちゃん「は、ハチ。刺される!」
おばあちゃん「大丈夫ですよ、これはイチゴの花粉を運ぶ仕事をしてくれるハチだから」
あたりを見回すと、ブンブンと沢山のハチがイチゴとイチゴの間を飛び回っています。彼らがしっかり働いてくれるから、美味しいイチゴがなるんですね。
おじいちゃん「わしも遊んでる場合ではないということか」
おばあちゃん「そうですね」
おじいちゃんは気を取り直してイチゴ狩りをスタートさせます。
おじいちゃん「『べにほっぺ』という種類のイチゴが甘くて美味しいと農園の人は言っておったかの」
おばあちゃん「そうですね。さ、時間がありませんよ」
今回の標的べにほっぺ
おじいちゃん「まずひとつぶ。ひょーい、ぱくり、もぐもぐ、ごくり…う、うまい」
おばあちゃん「私も頂こうかしら。ひょーい、ぱくり、もぐもぐ、ごくり…あ、あまい」
おじいちゃん「そーれ、もうひとつぶ、ひょぱもご、うまい」
おばあちゃん「私ももうひとつぶ、ひょぱもご、あまい」
こんなのをたくさん食べるわけです
夢中で食べ続ける二人
こんな調子で二人はどんどんイチゴを食べていきます。はじめのうちはつぶつぶが赤いのが甘いとか、先が細いのがおいしいとか、そういうことを気にして食べていましたが、やっぱり何と言ってもイチゴ狩りの魅力は食べても食べてもなくならない、まさに無尽蔵なイチゴの量にあるでしょう。無我夢中で食べ続けました。
おじいちゃん「ふう〜たくさん食べたなあ。おりょ、これは・・・」
おばあちゃん「どうしたんです?」
おじいちゃん「これを見てみなさい」
おばあちゃん「あら、かわいいイチゴたち」
仲良く実る6つのイチゴ
おじいちゃん「6つ連なって、まるで大和田家みたいじゃな」
おばあちゃん「くーちゃん、しんやくん、お父さん、お母さん、私とバクストンチン君ね」
おじいちゃん「わ、わしは?」
おばあちゃん「さっき通り過ぎたときに食べちゃいましたよ、ここにあったの。あれがおじいちゃんだったみたいです」
おじいちゃん「そんな。わし、食べられちゃったの?」
おばあちゃん「冗談ですよ。だいたい、これ、苗がふたつじゃないですか」
おじいちゃん「ほんとだ、勘違いした」
おばあちゃん「そんなこと言っている間にもう時間ですよ」
おじいちゃん「じゃあ、これだけ」
6つぶのイチゴのうち、一番小ぶりで、くみこちゃんみたいなイチゴを農園の方にお願いしてもらってきました。ようやく今回のミッションは終了です。二人はこのあと急いで大和田家に帰り、なんとかばれる前にケーキの上にイチゴを乗っけて事なきをえることができました。やれやれです。この季節ならではの味覚狩り、どうせするならゆっくりと楽しみたいですね。
何とかばれずに済みました
ソネット季節特集で全国のイチゴ狩り情報をチェックしよう!
詳しくは「イチゴ狩り」を見てね。
取材と文:季節特集編集部、絵:サワー沢口
べにほっぺおいしそう… イチゴ狩り情報を参考に我が家もイチゴ狩り行こうかしら。
by o-nigiri (2008-02-22 16:46)
ビニールハウスって結構厚いので、厚着で行くと汗が・・・・びっしょり。
練乳は、すぐ無くなるけど。
でも春の味覚、イチゴ狩りに出かけたくなりました。
by (2008-02-24 08:28)